「うける!死ぬ!!ツボ過ぎて死ぬ!!マジか高校生になってこれなんなの!?殺しにきてるの!?一周して可愛いの!?」

「なんで笑ってんだ」

「やめて!真面目な顔で天然かまさないで!これ以上笑い追加しないで!死ぬ!!」

ひいひい!げらげら!もう、これ以上無いほど爆笑して、机を叩いて、転げ回って、笑いすぎてむせかえって死にそうになった所で漸く笑いが止まった。

相変わらず、きょとんとしている龍児を見るとまた笑いがこみ上げてきたが、それ以上に面白そうな事を思いついたので、腹を押さえた。

けんじが早速スマホを取り出している。やっぱり同じ事を考えているようだ。

「よし龍児、お前に良い事を教えてやろう」そう言って、龍児と肩を組んだけんじが、取り出したスマホを龍児に見せる。

龍児といえば、読み込み中の画面を目前に出されたまま、組まれた肩を嫌そうに払いのけようとしていた。

「はいはい龍児。ちょっと大人しくして、今から俺たちとがっこー以外のお勉強しような?」

「いやー、スマホって、ほんとに便利だよね?」

「………?」





夕飯までごちそうになってから、龍児の家を出たのは8時が過ぎた頃だった。

父親の方が、「家まで送ってやろうか?」と申し出てくれたのを有り難く断り、二人で自転車をこいて、来た道を戻る。

自分の顔に、土埃を含んだ風が触れていく。そんな事など全く気にならないくらい、とても晴れやかな家路だった。

いやーもう、ほんと、死ぬほど笑った。今年に入って、恐らく一番、笑った。

「あー面白かった」胸中を零すと、けんじも「なー」と、同じ速度で同意する。

「アイツの行動だけで、2時間の映画が作れそうだよな」

「なにそれすげー見たい」

そんな映画があれば、相場の三倍払っても良いからめちゃくちゃみたい。俳優に、花束と手紙を送りつけてやりたいくらいだ。

「しかし、流石に可哀想だったかな?」

「顔真っ赤にして黙り込んで、最後は何も喋らなくなったからな」

先ほど、散々オモチャにして遊んだ相手の顔を思い浮かべて、笑いをこらえながら同情する。

可哀想だ可哀想だと言い合いつつも、そんな事も知らないアイツが悪いとも思う。

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