流石に、親に帰れと言われると、手立てがなくて困るなー。と、思っていた矢先。

「龍児が、豪星以外の友達を…!!」

非常に感動した声で、父親が自分の目頭をバン!!と、大げさに叩いた。

目前にいた龍児が、大変不満そうな声で「違う!友達じゃない!」と、相手の服を乱暴に掴んで抗議の声を上げているが、ちっとも聞こえていないようだ。

やがて、父親が、抗議を続ける龍児を押しのけ「お前等ようこそ!遠慮なく上がっていけ!」と、乗りの良い口調で招き入れてくれた。

二人で、「やったー!」と、お互いの手を叩く。

「ついでに晩飯食っていけよ!」

「わーい!おやつもつけてくれると嬉しいです!」

「任せろ速攻で作るわ!」

「手作りだやったー!」

二人が喜ぶ様が嬉しいのか、父親は赤ら顔を隠さずに、早速奥へ引っ込んで「おおい!沙世!」と、奥さんであろう人の名前を大声で呼んだ。

中に入って良いと言われたので、睨みつけてくる龍児を無視して、勝手に中に上がり込む。

玄関から直ぐ左側の部屋に明かりが灯っている。龍児がそこから出てきたのであろう痕跡が残っていたので、そちらにお邪魔させて貰う事にした。

中に置かれていた大きな机の上には、龍児が晩ご飯前のおやつを食べていたらしい痕も残っていた。

机を囲むようにして座ると、我が物顔で「お前も座れよ」と、龍児に催促する。相手の眉間の皺が、三ミリほど縦に伸びた。

暫く黙り込んでいた龍児だったが、それで二人が帰る訳は無いと悟ると、とりあえず、二人より少し離れた場所に座り、地声よりも更に低い声で「なにしにきたんだお前等」と尋ねてきた。

その質問に、待ってました!と食いつく。

「騎馬団の事を話に来たんだよ龍ちゃん!今日の体育委員の会議で、正式に紅組の騎馬団長補佐って事になったから!」

「…あ?」

「団長から、俺たちの方で好きにやっていいよって言われてるから、人員確保とか、練習時間とか、今の内に決めておこうぜ!」

「折角だし、まじめにやってイケメン先輩に勝とうぜー!」

「…お前等で勝手にやればいいだろ。俺はひとりでだいじょう」

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