「俺やる!騎馬団でも自衛隊でも!なんでもやるぅ!やっだー君たち気がきくぅ!」

「待って!ちょっと待って!どういうこと!?」

「拇印という効力があれば、ダーリンとえろい事が出来ちゃうってことだよ!」

「なにそれどういうこと!?俺の同意は!?」

「やだなダーリン、捺印っていうのは同意した時にするものだよ?」

「してないから!唯の成り行きを同意として消化しないで!ていうか、猫汰さん!旅行の時俺と約束しましたよね!?とりあえず卒業後まで猶予のある話でしたよね!」

「口約束よりも書類だよ。ダーリン、異議があるなら法的に戦おう」

えええええ!!最後そんなに冷静に返されても!

「え、や、ちょ、ちょっと待って…!あの、龍児君、どうしよう」

収拾が変な方向に曲がって落ち着きそうな状況に、一応当事者とされている龍児に助け船を求めて話を振るが。

「べつに俺、豪星とえろいことなんてしたくないんだけど」

返ってきた答えがやっぱり龍児らしくて、がくんとその場に崩れ落ちそうになった。

キス、痛かったし。と、それも別に、冷静に答えなくて良いから。

ていうか俺、ファーストキスから数えてもう何回目だけど、全員男ってどういう事なの?この世の理不尽ってこういう事なの?

「それはまぁ、お前的にはおまけってことでさ。それより龍児、話乗れよ、勝てば先輩たち別れるぞ?」

「やる!!」

「流石龍ちゃん!実は状況が良く分かって無さそうな所が最高!」

「なんか言ったか?」

「なんでもないよ!それじゃ話はこれで決まりってことで!先輩たち、詳細は追って連絡しますんで、楽しみにしててねー!」

双子の話が締め終わると共に、授業の終わる音がした。それを機に、双子は龍児の腕をお互いの脇に挟み込むと、「じゃあねー!」と言って出て行ってしまった。

残されたのは、はしゃぎながら「俺頑張っちゃうね!」と、豪星に抱き着く猫汰と、放心状態の豪星と、やれやれ、終わったか、みたいな雰囲気で、黒板や乱れた席を直し始める、クラスメイトと教師の姿だった。

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