新案に期待が過ぎて、迷走が迷走を起こし、結果、ああだこうだと、団長の選出案段階で揉めているらしい。

その選出方法を、まるっと、今この状況に合わせてしまおうとへんじが楽しそうに言った。…それってつまり。

「…その団長の役を、猫汰さんと龍児君がやるってこと?」

「そうですそうです。いやー、適当に決めるのは嫌だとか、立候補でも唯の目立ちたがりは嫌だとか、そもそも騎馬戦は戦場だ。つまり、戦場にはストーリーがいるんだとか、無茶ぶりも言い出してて…あまりにいいんちょもせんせも騎馬戦の理想に熱が入り過ぎちゃって、会議全然進んで無かったんですけど、この状況絡めて、先輩と龍ちゃんなら適役じゃない?って思ったんだけど、どう?先輩と龍ちゃん公式に戦わせて、勝った方が彼氏の権利を得る!みたいな、まさに物語を噛んだイベントっぽいでしょ?」

「う、うーん…?」

「それに、豪星先輩がイケメンの先輩と付き合ってるって、ここの学校じゃ結構有名だし、みんなぽかーんとしなくていいんじゃない?」

「…え、いやいや、するでしょ?」

「え?しないと思うよ?だって俺たちも、豪星先輩と出会って三日後くらいに、教室全体で先輩たちの噂聞いたよ、イケメンなホモと地味なホモの先輩カップルが居るよって」

いまけっこうききずてならないことをきいたぞ。

「まぁ、龍ちゃんは一年生だから、実際は花形役の団長補佐みたいな立場になるでしょうけど、そこは適当に話通しておくんで」

「…いやまぁ、それはそうと、そんな話急に通るかな…?」

「大丈夫っす、いいんちょって、俺たちの兄貴なんで」

うわぁ、身内のコネまで使って通されるんだ。それもどうなの。

「―――くっだらね、人の問題にお遊び混ぜ込んでくるなよ」

双子が話を続ける途中、段々と行動と息が大人しくなっていた猫汰が唐突に話を裂いた。

蹲る体制で、しかし、誰にも見下されない雰囲気を持って嗤う。

「やらねぇよ。そんなのやらされて俺になんのメリットがあるんだよ。負けたら俺が大損こくだけの勝負じゃねぇか」

猫汰の反論に、双子がすかさず「そうかな」と、不敵な笑みで返した。

「今後、相手に豪星先輩の彼氏になるとか言い出さない、みたいな条件でもつければ、白黒は結構きれいに片付くと思いますよ?喧嘩するよりもね。先輩、死ぬまで龍ちゃん殴っても決着はつかないと思うよ?だって、先輩の彼氏と龍ちゃん、とっても仲いいもんね?これ、先輩がどうしたってもう、治りませんよね?」

18>>
<<
top