知らない間に昼休みが終わっていたらしく、丁度、猫汰を押さえる人手が変わったところで教師が教室の中に入ってきた。
それを双子のどちらかが勝手に椅子に座らせると、次に、二人揃って黒板前の檀上に昇った。
視線の位置を上らせた双子がお互い白チョークを掴み、タイミングを合わせて、きゅきゅきゅー!と、左右から何かを書きこんでいった。
書き終わった黒板に、でかでかと書かれたのは「緊急ミーティング」だった。
「はいはい!直接暴力に訴えても主張は終わらない!だったら最後に何が解決を呼ぶかな!けんじ!」
「そりゃ勿論、平和かつ決着のつく解決方を模索することだなへんじ!」
「その通りだよけんじ!けど、この空気みてよ!どう頑張っても話し合いは難しいと思うんだよねー?」
「おう!そうだな!だったらどうする?」
「こうするのはどうでしょう!?―――勝負には、勝負だ!」
やけに芝居がかった二人の解説が終わった後、文字の下に文字が追加された。
へんじが書きこんだのは「騎馬戦」の3文字。いきなり投下された謎の文字に、教室中の誰もがざわめいた。
その文字を見ていたけんじだけが、冷静な声で「ああ」と、合点のいった声を出す。
「お前、体育委員会で盛り上がってたって奴、ぶつける気か?」
「いえーい!その通り!あ、俺今度の体育祭の主要委員なんですよ」
「あの、へんじ君、けんじ君、どういう事か説明してくれる?」
「はいはーい、先輩、それはですね」
不思議な行動を取る後輩たちにもう少し説明を付け加えるようお願いすると、双子が、順を追って説明を始めた。
どうも、へんじの方が体育委員を担っているらしく、来たる体育祭に向け準備を進めているらしいのだが、その際「今年から、3学年合同種目に騎馬戦を追加しよう」という話になったらしい。
この提案に担当教師も相当乗り気になり、委員長と教師の意気投合の末、この話は実現される形まで話が進んでいたらしい、が。
そこでひとつ議題が起きた。どうせなら盛大にやりたい。しかしどう盛大に起こせばいいのか。
それはリーダーの決める事だろう。ならば騎馬団長は適当ではいけない。ならばどんな基準で理想の騎馬団長を選んだらいいのか?
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