「痛いよ!龍児君!なにするの!?」

「キスって痛いな」

「冷静に言わないでくれる!?」

ごしごしと口を拭う豪星に、同じく、ごしごしと、龍児も口を乱暴に拭った。

お互い口を拭うくらいならやらなくても良かったんじゃないの!?そう、簡潔に伝えてみるが。

「だって、キスしたら恋人になるんだろ?月曜日のドラマでやってたぞ」

おおおおおい親父さぁああああん!!龍児君に月9は早すぎるみたいだから見させないでくれないかなぁあああ!!被害が出るからね主に俺にね!!!

「は、は、…は」

―――はっと、背後の気配に気づいて、豪星はゆっくり振り返った。猫汰が、笑いながらこちらを見ている。

口元は笑っているのに、目が血走っているのが遠目で見ても分かるのが怖い。やがて、一頻り笑い終わると。

「ころす」

猫汰が龍児に殴りかかろうとしたのは一瞬の事だった。

その一瞬を、驚くことに、双子が両腕に飛びかかって止めた。龍児と友達をやりたいだけあって、あの二人は動きも度胸も良いみたいだ。

ちなみに龍児は、猫汰の動きについていけなかった豪星とは違い、応戦の構えをとっていた。双子が押さえなければ、また同じような乱闘になっていただろう。

はなせぇえ!!と、教室で大絶叫し、身体の動かせる場所は全部動作させて暴れる猫汰を、双子が全身で押さえつける。

それでも止まらない猫汰に、へんじか、もしくはけんじの方が「ああもう!」と、痺れを切らしたように叫んだ。

「どうどうどう先輩!堂々巡りになるからやめやめ!ていうか龍児、ここぞという時に油ばっかりぶっかけんな!」

「なにがだよ」

「ひゅー!流石龍ちゃんわかってねぇ!しょうがないなもー、えーと、あ!次ちょうど総合ミーティングだね!」

「先輩がた、すみませーん!ちょっと俺たちの代わりにこの先輩押さえつけてくれますか!あ、豪星先輩も!」

「あ、う、うん!原野も手伝って!」

「ええ俺!?」

「お、先生!ちょっとすみません!色々お借りしますー!」

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