境内の右側に建てられた小屋に近づくと、巫女の衣装を着た女性が二人を見て柔らかく微笑んだ。
「おみくじですか?」と尋ねられ、はいと頷く。
豪星と猫汰が同時に100円を手渡すと、八角形の筒を、まず豪星の方に差し出してきた。
軽く振って、さかさまに向けると、カランと音立て、箸くらいの大きさの棒が中から飛び出してくる。
それを見たお姉さんが、奥の小さなタンスから一枚の紙を取り出し、豪星に手渡してくれた。
「一緒にみようね!」と言いながら、同じように筒を振っている猫汰を待ってから、二人で一緒に紙の中身を覗く。が。
「……大凶だ」
「あ、俺は凶だ、なになに?安心して産め?やだもー!気がはやーい!」
何故そこを読むのか。しかも口に出して。
悪い方の結果に、げっそりと気落ちした豪星の隣で、猫汰が「引きが良いね!」とはしゃいだ。
現実と全く噛み合わない台詞に、ぎょっと顔を上げる。
「ええ?凶ですよ?しかも、二人そろって」
「えー?だって、おみくじの中で凶って2割くらいしかないんだよ?そんなの引けるなんて運が良いよ!」
「物は考えようですか…」
そう言われてみると、引いた大凶も浮かばれる気がしないでもない。
しかし、このおみくじ、豪星の方にも「安心して産め」って書いてあるんだけど。どれだけ出産押しなんだ。
「さーて縛ろうか!…あれ」
小屋の隣に設置された納め所に、早速紙を縛り付けようとしていた猫汰が、途中、素っ頓狂な声を上げて立ち止まった。
どうしたんですか?と、尋ねる前に、猫汰が何かの看板を読んでいる事に気付く。
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