「お菓子なら、自分が食べたいものでいいんじゃない?」

「お前はそれで良いのか?」

横並びの山を指さし提案した後、不思議な返答が返ってきたので、首をかしげてしまう。

「え?いやいや、俺が食べたいものは関係ないよ?龍児君の好きな物で良いんだって」

「だって、お前用だし」

「ええ?ちょっと待って?それおかしくない?」

「なにが?」

「俺と遊びに来てるのに、俺に土産を買うのはおかしいでしょ?」

そりゃ、自分土産は普通にあるけど、同行者の土産を買うのは流石におかしくないか?

「だって、前にお前に土産貰った時、おっさんが、今度遊びに行った時は、豪星のお返しを買うんだぞって言ってたから」

「……ああ、うーん」

そうだけど、そうじゃなくて、……理解が中途半端になってるな、これ。

「えっとね、龍児君、確かにそうなんだけど、それは、俺がいないお出かけの時に買ってくるものだよ」

「………」

「だから、今日は買わなくても良いんだよ、また、俺がいないときに遊びにいったら、お土産くれれば大丈夫だから」

「……そんな日あるかな」

「ん?そりゃ、あるんじゃない?」

「………」

「あ、そうだ、今日はへんじ君とけんじ君に買っていってあげたら?」

お友達なんだし、と言いかけたが、かっ!と歯をむき出した龍児に「なんでだよ!」と反論されてしまう。

今度こそ、「いや、お友達だし」と言えば、大変不服そうな舌打ちを打った後、黙り込まれてしまった。……そんなに嫌なのか。

向こうには嫌われて無いから良いと思うんだけど、…どうやら暫くは、あの双子の片思いで通りそうだ。

レジに並ぶまで、不機嫌そうに黙り込んでいた龍児だったが、豪星がカゴから物を取り出し、会計を済ませた当たりで、つんつんと腕をつついてきた。

振り返ると、顰め面のまま、龍児がじっと豪星を見上げていた。しかし、その雰囲気が、先ほどとは種類が違う事に気付く。

「なあ、それ」

「うん?」

「それ…」

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