「ひぎゃぁあぁあああぁあああ!!!」

「もう大丈夫だよ!龍児君!!大丈夫だってば!!」

「うわぁぁぁああああああ!!」

「顔上げて!!ほら!お外来たよ!」

お化け屋敷の途中から、悲鳴を上げ続けて止まなくなった龍児の両腕を一生懸命引っ張り、励まし、外に出る。

龍児はと言えば、重たい袋のような状態で、豪星にずるずる、靴を擦りながら引きずられていた。

お化け屋敷の内容としては、豪星が想像していた通り、雰囲気はそこそこ恐ろしく作ってはあったが、展示物のようなはりぼての多い、たまに床や壁から仕掛けが飛び出して吃驚させるくらいの大して怖く感じない作りだった。

しかし、それは豪星の感覚の話であって、龍児は入った時から相当怖かったらしく、途中で奇声を上げてうずくまってしまったのだ。

それを、引きずりながら連れてくるのがものすごく大変だった。

「龍児君!終わったよ!顔上げて!」

悲鳴の煩い龍児に、豪星も負けじと声を張って何度も終了を伝えると、漸くそれが耳に届いたらしい龍児が、がば!と顔を上げ、豪星の太もも辺りにしがみついてきた。

その力がぎりぎりと音が鳴る程強くて、「いてぇ!」と叫びそうになった。

「終わったんだな!!ほんとに終わったんだな!!」

「大丈夫だよおわったよ!龍児君!だからちょっと力弱めて…」

欲しい、と言い切る前に、龍児の方から自発的に手の力を弱めてくれた。…いや、自発的というか、崩れ落ちるように手を離した。というのが正しい表現だったかもしれない。

再びうずくまった龍児は、先ほどの様子と反転し、しんと静まりかえっていた、が。

「うぇぇえぇえ…っ」

暫くして聞こえてきた悲壮な声に、今度は豪星の方ががば!と顔を上げる羽目になった。

蹲った龍児の肩を、躊躇い混じりに叩く。

「龍児君!?え、まじ泣き!?ご、ごめん!ごめんってば!!そんなに怖かったなら先に言ってくれれば良かったのに!ていうか以前は平気だったんじゃないの!?」

「あの時はいなかったぁ…!」

「目に見えるとダメなタイプ!?ややこしいな!あー!ごめんって!泣かないで!」

まさかこんな風になるまで怖がるとは思わなくて、誘った手前もあり余計にあわてふためいてしまう。

強いたつもりは無かったのに、これでは結果的にいじめてしまったようなものだ。

龍児は、ぐすぐすとしゃくり上げながら、豪星に背を撫でられ泣き続けている。

ごめんね、ともう一度言えば、今度はぶんぶんと首を振り始めた。

「ちが、おまえが、悪いわけじゃ、…俺…っ」

「うん?」

「お前が、あそこ、入りたいって言うから、一緒に入りたかったぁ…っ」

「そんな所でつられなくていいよ!ああもう、ちょっとまっててね…」

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