………………………………………………え、あれ、本気で言ってる?

「…あの、龍児君、子供は…その…あ、あれ?保健体育は…?」

「ん?」

まさか、つまらないからって寝てたんじゃ…。

「……………へ、へんじ君とけんじ君が、多分その内、無理矢理教えてくれるんじゃないかな…」

「いきなりあいつらがなんだ」

「いや、なんとなく…」

言いづらいとは、言いづらい。

「そ、それよりさ、お友達出来て良かったね、龍児君」

話を逸らす為に流した話題に、ことのほか龍児が強く噛みつき、「違う!」と一声吠えた。まるで犬の牽制のようだ。

こちらとしては安心した一面だったのだが、本人を見る限り、全く別の印象を持っているようだ。

「だってすごく好かれてたじゃない?友達、俺以外にも出来て良かったね」

「違う!あいつら友達じゃない!友達ってもっと優しいんだぞ!あいつらむかつくから嫌い!ダチじゃない!」

「…うーん」

うぬぼれじゃなければ、彼の友達の基準が友達一号である自分に向かっているような気がする。

これは、ゲームだけじゃなくて、友達にも幅をきかせる必要がありそうだな。

「…今度、二人に相談してみようかな」

「二人って誰だ」

「ううん、なんでもない」





楽園ゲームというのは、人生を模しただけあって遊び時間が長く、最後までやりとげた時にはすでに夕方近くになっていた。

二人の仮想人生を代弁した人形達が、一番最後に、大きな天秤に乗って人生の質を勝敗として競い合う。

その天秤が、わずかに多く傾いたのは豪星の方だった。

途中でこつを覚えたお陰か、案外早く龍児に追いついてしまったらしい。

このゲームでも勝てなかった事がめちゃくちゃ悔しかったらしく、龍児がじろじろとこちらを睨みつけてきた。

そんな顔しても勝敗は変わらないよと言えば、うぐぅ、と、喉で唸る音がした。

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