「おっさんが、豪星が暇だろうから、遊んでやれって言ってた」

「そうなんだ、有り難う」

「そんな事言われなくても、俺、豪星と遊びたい、遊べるならあそぼーぜ」

「あはは、そうだね」

遊んでくれる?と、わざとお願いする風に言ってみると、目をらん!と耀かせた龍児が、ハードをおざなりに置いてから、持っていた箱の中身をがさがさとひっくり返し始めた。

ひとつ、ふたつ、みっつ、…二桁を越した当たりで漸く物の落ちる音が止んだ。いつの間にかずいぶんと数が増えたものだ。

落とした中から、龍児は目星のある手つきで物を探ると、あった!と声を上げてそのひとつを掴み持ち上げた。覗き込むと、パッケージには「楽園ゲーム」と書かれていた。

「これって…」

「自分作って遊ぶ、すごろくみたいな奴」

「ああ…」

いわゆる、ダイスを使って仮想キャラクターを操り、ゲームの中で自分の人生を良い方向へ、もしくは悪い方向へ構築していく、家庭用に作られたテレビボードゲームだ。

「こういうのもやる用になったんだね…」

「受験勉強してた時、ゲームしたいって言ったら、おっさんと沙世に、ゲーム中も考え事や集中力つけろって言われて、二人が買ってきた」

なるほど、これはこれで受験対策用だった訳だ。

「でも、結構面白い」

「………そっか」

龍児がゲームの種類に幅をきかせるようになってきた事に、なんとなく、彼の情緒の発達をみたような気がして、つい、うんうんと、ほっこりした顔を浮かべてしまう。

早速電源をつけ始めた龍児が、以前よりも一層なれた手つきでゲームを開始した。対戦ものでは何時も負けっぱなしの所為か、気迫の乗った顔で「勝つ」と宣言され、たじろいでしまう。

「お、お手柔らかに…」

「おう」

企業のロゴからタイトル画面に移り、スタートを押して、自分の仮想人物を作る場面まで、さくさくと進んでいく。

龍児は仕様をすでに知っている為、まずは動作を覚える事もかねて、豪星からキャラクターを作る事になった。

名前、性別、誕生日。全部、自分と同じものを記入していく。

「…お前、5月10日が誕生日なのか?」

「え?ああ、そうそう、そういえば言ってなかったね」

「ん…もうすぐなんだな」

「そうだね、それよりさ、これ、産まれた時に色々決められるなんて最高だね」

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