「やだ!食べたの…?こんな適当に作ったの、おいしくないから食べちゃだめ!」

「そんなことないですよ、美味しかったです」

多分、今までで一番。とは言わず、切りの良い所で締めると、視線を横にずらした猫汰が、む、と唇を前に尖らせた。

「…だーりんの、いじわる」

褒めてるつもりなんだけど、詰られてしまった。料理が好きな人のいわゆる矜持というやつだろうか。自分にはいまいち分からないなと、口には出さずに考える。

半分がまた半分になったくらいで、猫汰が「もういいよ」と静止をかけた。どうやら食欲の限界が来たらしい。

分かりましたと頷いて、持っていた器ごとキッチンに戻すと、その縁の上に、適当な皿を蓋の代わりにして、逆さに被せておく。

「…そういえば、お兄さんには連絡しました?」

ベットに戻って直ぐスマホで時間を確認していた猫汰に訪ねると、きょとんとした目で見上げられた。…これは多分、していないな。

「え?してないけど…」

豪星の想像通りの返答を返した猫汰に苦笑しながら「しましょうよ」と言えば、なんのことかよく分からない、みたいな顔つきで数秒、考え込んだ後。

「そういえば、そうだね…」

熱にふやけた思考で漸くそこに辿り着いたらしく、もう一度、スマホを点灯させて、何処かに連絡をかけ始めた。

恐らく、やっと兄に自分の現状を伝えたのだろう。後は彼の兄が、人なり物なり、寄越してくれる筈だ。

「薬はありますか?」

「ん、ある、あっち、あそこに置いてあるやつ」

「ああ、はい、あれですね、じゃあ水も一緒に持ってきます」

「うん、ありがと」

スマホを枕の横に置き、再びベットに潜り込んだ猫汰を上から見下ろす。猫汰は豪星の方を向いて手を伸ばし、豪星の制服を掴んだまま、うとうととまどろんでいた。

猫汰が寝静まるのを、課題を取り出して眺めながら待機する。数十分後、すうすうと、規則的な寝息が聞こえてきた辺りで、ぱたんと冊子を閉じた。

猫汰は、来た時よりも幾分か楽そうな表情で、鼻と瞼をひくりと揺らしている。

これでとりあえずの収拾はついたかなと、目途を見て立ち上がる。水を汲んでベッドの近くに置き、ティッシュの残量も確かめる。

空調は、豪星の体感によれば暑くも寒くも無いし、おかゆは冷蔵庫に保存しておいた。

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