「なになに!?ハル、作り方教えて!」
「いいよー、ちょっと待ってね」
「豪星、お前絶壁呑むか?」
「飲みます!」
「あ!みつ!俺も俺も!」
「はいはーい」
四人で、時折相手を入れ替えながら、わいわい会話をしている間、ふと、光貴が自分の手元を見ながら「あ」と声を上げた。
数秒黙り込んで考え込むと、やがて春弥の方に振り向く。
「おい、春弥、ちょっと買い出し行ってきてくれないか?」
「うん?いいよ、何買ってくる?」
「わるいな、酢を買ってきてくれ、そういえば今回ので切らしてたの忘れてた、明日使うかもしれねぇしな」
「分かった、ちょっと行ってくるね」
奥の棚から数枚の紙幣を取り出すと、それを春弥が受け取り店の奥へと姿を消した。恐らく、裏口から出かけていったのだろう。
三人になって少し会話が途切れたものの、再び誰かが話題を引っ張り、今度は三人で口華を咲かせ始めた。
今度は学生の割合が多くなった所為か、もっぱら、こちらの話題が中心になる。
「ところで豪星、猫汰が実はめちゃくちゃ頭良いの、知ってるか?」
「あ、はい、前にテストの結果を見ました、すごい数字でした」
「だろー?けど、こいつ頭は良いのに馬鹿だから、見てるとひやひやするんだよなぁこっちは」
「みつ!バカってなに!」
「そのままだっての、精々、豪星みたいな愛らしいタイプを、いけない道に引きずりこむんじゃねぇぞー?って、もう遅いかなぁ」
「あはは…線引きって難しいですよね」
「ダーリン!みつの言う事真に受けないでよー!」
「いえ、そういう意味では…」
ないですよ、と、言いかけた最中。背後の扉がガラリと開く音がした。買い出しに出掛けた春弥が帰ってきたのだろう。
そう思いきや。
「うおーい、光貴ー」
音に続いた、厚みのある低音が、豪星の予想を景気よく壊した。
え?と、初めて聞く声に振り向くのと同時に、光貴が「あれ!?天道さん!?」と、声を足す。
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