一度、ちらちと自分の着物を見返してみる。

凡庸な自分でも、衣装のお陰か、何時もよりはカッコいい、かな?と、思えるようになってきた。

へへ、と、こそこそはにかんでいると、また隣から、今度はカシャッ!とシャッターの音がした。

振り返ると、猫汰がうっとりとした顔で、自分のスマホをしまい込んでいる所だった。

「…着物を着てはしゃぎながら、ちょっとはにかむダーリン、頂きました…!!」

「はい?何か言いました?」

「ううん!なんでもない!それよりダーリン、あれあれ!あれ食べようよ!」

あれ、と言って猫汰が次に指さしたのは、もう少し歩いた所にある、路地の前に置かれた屋台だった。

屋台の上では鍋と小さな硝子のケースが置かれていて、ほんのり色味のついた練り物が所狭しと並んでいる。

それを、店の人が鍋に放り込んで、ほくほくとふかしていた。

ふんわり、特徴のある甘い香りが漂ってきた時、ごくりと生唾を飲んだ。時刻は昼時の直前だ。くう、と喉がなる。

「すみませーん!これください!ね、ダーリンはどれにする?」

一番手前にあるシュウマイをさっさと注文した猫汰が、振り向いて豪星の希望を訪ねてくる。

さっと、ケースを見渡した後、いちばんお勧め、と書かれたものを頼んだ。我ながら無難である。

店員は注文を受け取った後、鍋の中から既に放り込まれていた練り物を箸で取り出し、それを別の箸にさして一人ずつ手渡してくれた。

お金と交換で受け取り、湯気の立つソレを、息を吹きかけてから、はふ、と頬張る。

柔らかい厚みを噛みちぎった瞬間、出汁と甘味が口の中に零れ落ちる。

滲むような美味しさに、気づけば、無心で口を動かしていた。

「はふ、ん、おいし、…っ、ぁ、汁が…」

「………………だ、ダーリン、そんなに、美味しそうに頬張って…」

「へ?どうひまひは?」

「い、いや、ごめん…あまりにもエロ…天使だったから、つい」

「???」

「ごめんダーリン!汚らしいオレをゆるして!」

「???」

猫汰が、わ!を声を上げた時、目の前を歩いていた恋人がぎょっと目を剥きこちらに振り向いた。

それから、なにやらヒソヒソと小声で顰めき合う。

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