飲みすぎて潰れてしまった須藤に毛布をかけてから、空になった小皿と大皿を、がちゃがちゃと音を立てながら沙世が片づけ始めた。

手伝わなくて良いわよと念を押されてしまったので、豪星も、須藤のように畳に転がってうとうととまどろんでいた。

「ごうせー」

隣で同じく、ごろんと転がっていた龍児が、徐に半身を起こして豪星を見下ろしてきた。

何時もの釣り目を、豪星と同じくとろんと落として、しかし、あどけない顔で笑う。

「なぁ、豪星、今度、一緒に帰ろう?」

唐突な誘いに一瞬何のことかと考えてから、ああ、と、龍児を見上げながら頷く。

恐らく、学校での登下校の事を差しているのだろう。

「龍児君、校門から左に曲がる?右に曲がる?」

「ひだり」

「そっか、じゃあ一緒だ」

「俺、自転車だけど、途中まででも良いから」

「うん、いいね、じゃあ今度一緒に帰ろうね」

龍児が自転車をひいて、その隣を歩く自分の姿をなんとなく想像してみると、覚え慣れない光景に妙なくすぐったさを覚えた。

こんな日が来るとは思わなかった。須藤ではないが、一年前の自分では、衣食住まで共にした友人と下校をするなど、夢のような話だったから。

「明日も会えるな」

「そうだね」

「俺、嬉しいぞ、お前と前みたいに、一緒に居たかったから、勉強、大嫌いだけど頑張って良かった」

「そっか、有難う」

素直に好意を寄せてくれる龍児に、再び胸の内を優しく撫でられる。

以前も思ったけれど、龍児は本当に良くなついた弟のようで、最近は好意を寄せられると、見ていても聞いていても可愛い。

ちょっと調子に乗って、豪星も身体を起こし、自分よりも背の低い龍児の頭をわしわし撫でて「よしよし」と言ってみる。

龍児は、驚きはしたものの、とろんとした目で大人しくされるがままになっていた。

―――ジリリと、携帯電話が鳴ったのは丁度頭を撫で終わった直後だった。

買ってからずっと音を変えていない携帯の、古風な着信音が静かになった居間に鳴り響く。

ぴく!と瞼を上げた龍児が、じっと、豪星の鞄を見つめた。

「ああ、ごめん、誰かから電話が来たみたい、ちょっと待っててね」

豪星が隣から引いて廊下に出ようとすると、龍児は再び畳にごろごろと転がり始めた。それを見届けてから、廊下に足をつけて、通話を押した瞬間。

『もしもしダーリン!?例のお食事会終わった!?もうお家帰った!?』

挨拶の余韻も無く、猫汰が豪星の所在をけたたましい声で問い質してきた。

つんざく声に若干耳を伏せながらも「あの」と、応答する。

「まだ友達のところです」

「まだ居るの?もう結構いるよね?」

「ええ、まぁ、その内帰ると思いますけど」

「ふうん?…あの子は?」

「龍児君ですか?向こうで寝てますけど…」

「同衾したの!?」

どうきんって…。凄い解釈をしたな。

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