「ねぇ、ダーリン、俺たち、そろそろ良いと思うんだよね…?」

青臭い井草の畳。その上にひかれた厚みのある布団の上で仰向けになった豪星は、はく、はく、と、魚のように口を開け締めしていた。

豪星の上では、浴衣の胸元と足の付け根の部分を大胆にずらした猫汰の姿がある。

両腕と両膝に挟まれ、上から組み敷かれた状態で、豪星は熱っぽく見下ろしてくる猫汰を焦点の合わない目で見上げた。ひっく、と、息を呑む。

どうしてこうなった。なんでこうなった。考えても考えても混乱するばかりだ。

黙り込んだまま一言も発しない豪星の態度を、どう受け止めたのか、猫汰が不意に瞼を落とすと、片手の平で豪星の浴衣の合わせを割った。

そのまま中に入り込みそうになった大きな掌を、ほとんど、脊髄の反応でガシリ!と掴んで止める。

それでも、止め切れなかった指先が胸の上の皮膚にあたり、そわっと肌が粟立つ。

その時、漸く、…えらい事になっているのだと、心の底から実感した。

掴んだ豪星の手を忌々しそうに見つめた後、猫汰は何時にない力で豪星の腕を解き、再び浴衣の合わせに手を入れ込んできた。

それを再び掴んで阻止して、それをまた猫汰が解く。何度もそれを繰り返している内に、豪星のタイミングが遅れてきた。

不味い、体力も速さも向こうの方が上だ。ならば。

「いけません!!」

思い切り声を上げると、不意を突かれた猫汰がびくり!と震えて止まったが、それも束の間、直ぐに行動を再開した。

「駄目ですってば猫汰さん!」

「なんで!そろそろいいって!次いこうよ!」

「よくない!こ、こういう事は、大人になってからだと思います!!」

「大丈夫!個人の営みに法律は関係ないから!」

「そういう問題じゃない!…あっ、やだっ…だめぇええ!!変なとこ触らないで!いけませんったら!」

「大丈夫!ダーリン初めてだよね?俺も後ろは初めてだけど優しくするから!」

「なにが大丈夫なの!?なにも大丈夫じゃないよね!?」

お互いしつこく攻防戦を張っていたが、ふとした瞬間、猫汰が力を抜いて、その拍子に豪星の手が空振りした。

その隙をついて再びキスをされた。相手の舌が口の中に割り込んで、上から下へとなぞられる。

言い難い震えに嬲られていると、舌を出したまま顔を離した猫汰が、豪星を下に見下ろし、にぃと笑った。

―――ぞっと、背筋に熱がこみ上げた時。

「嫌だって言ってるだろ!猫汰さんなんて嫌いだ!」

気付くとその顔を無理矢理に掴んで叫んでいた。

途端、ぴたりと止まった猫汰から離れ、壁際にまで移動する。肩で息をしながら浴衣の合わせを両手で閉じて、呼吸を整えた。

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