『お前が家にいた時はよ、四六時中一緒だっただろ?』

「ええ、まあ」

『あん時、傍目から見てもかなり懐いてたからな、それが急に無くなったんだ、暫く経てば思う事もたまる事もあるだろうよ』

「はぁ…そういうもんですかね」

『お前知らないだろうけどな、お前が遊びに来て、帰った時、アイツ部屋に閉じこもって一晩は出てこないんだからな、言うべきじゃないと思ってたけどよ、可哀想だと思わないか?』

全面的に龍児贔屓らしい須藤は、そんな事言われてもという豪星の主張は受け付けない様子だった。

兎に角もっとこちらに来る頻度を増やせ、というか明日直ぐ来いと言われるが、こちとら手放しで暇という訳でも無い、

仕方がないので、二人の都合を合わせた結果正月の、二日から数日は一緒にいますという話になった。

直ぐに来れない事には不平不満を零していたが、断られては元も子も無いのか、分かったと言って、須藤からの通話はそこで切れた。

続いて今度は別の着信が掛かる、忙しないなと思いつつ、耳を押し当てれば、とてつもなく高い声で『ダーリン!』と叫ばれた。

『全然かからないから吃驚したよー!もう、俺を差し置いて誰と喋ってたの?浮気ぃ?』

「違いますよ、以前お世話になった人からの電話でした、偶には顔を見せに来いって」

『ふーん?』

「それより猫汰さん、明日はどうしますか?」

『そうそう!それで電話したの!えっとね!夜に中央駅で待ち合わせてツリー見に行こう!イルミネーションが凄いんだって!あ、俺、俺ね、美味しいお店予約しといたから、次郎ちゃんとおとーさまには悪いけどお留守番しててもらおうね、ね?すっごく期待してね?ね?二人で行こうね?』

「はい」

『お金の事はちっとも気にしないでね!ぜーんぶ俺が出すから!出させてね?ね?』

「何時もすみません」

『良いんだよ!当然じゃない俺彼氏だもん!もーダーリンの声きいてると会いたくなっちゃう!約束明日だけど直ぐ会いたい!ダーリン俺すっごく会いたい!』

「すみません、今日は父親がどうしてもほんっっとにどうしても俺とチキンが食べたいと言い出してきかなくて」

『もー、お父様ったら子離れ出来てないんだから!』

「あーははは、ですよねぇ」

『けどいいもん、明日会えるもん』

「そうですね、じゃあ、そろそろチキンが冷めるのでお暇しますね」

『う、うん、分かった、じゃあねダーリン、また明日ね、駅で待ち合わせね、あ、大晦日と初詣の詳しい予定もその時立てようね』

「はいはい、じゃあまた」

『うん、またね!』

「ごーせー君?」

背後から様子を伺っていたらしい父親が、通話が終わった瞬間声をかけてきた。振り返ると、目を丸くさせた顔が目に映る。

「どうしたの?なんか電話長かったけど、チキン冷めるよ?」

「ああ、予定決め、ちょっと詰まってきたかな」

「ふーん?ていうか今日良かったの?僕じゃなくて猫ちゃんと一緒に居なくて、24日なのに」

「まあクリスマスなんて二日あるようなもんだし、二日付き合えとは言われてないから今日くらいは休ませて貰うって事でね、…よいしょ、あ、そうだ父さん、来年の2日からちょっと出かける事になるかも」

「そうなの?」

「友達がね、会いたいんだってさ、ついでに暫く泊まっていけって、ほら、前にお世話になった人に言われちゃって」

「それこそ猫ちゃんどうするの?確かダーリンと紅白見ながら鍋食べて!それから初詣に行くんだ!って前来た時にはりきってなかった?正月入り浸る気満々じゃない?」

「予定が入ったらしょうがないよね、まぁ、その晦日と初詣で満足してもらうよ」

年末と年始の予定を纏めて、淡々と告げる豪星にあはは、と父親が笑う。

「晦日から三が日まで、男を梯子する訳か」

それから「もてる男は違うねぇ」と笑えない冗談を吐いたので、とりあえず足を延ばし、相手の踝を思い切り蹴飛ばしておいた。

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