「ぶっははははは!!なんだあれおもしれー!!」

床の上で即座に笑い転げ始めた父親に、怨みを込めた目線を落とす。

「落ちをつけてくれてありがとう、ぶん殴って良い?」

「きゃー!あぶなーい!」

豪星が繰り出した拳を後転でかわし、「よっ」と父親が立ち上がった。その顔にはまだまだ悪戯な笑みが浮かんでいる。

「いやーほんと凄いじゃないか豪星君、性格はさておき滅茶苦茶なイケメン!早々いないよあんなカッコイイ子」

「何で認めたかな、余計にややこしくなっただろ」

「いやー?面白そうだったからついね?それに顔はさておきああいうタイプに死ぬほど振り回されてみるのも良い経験になるじゃないか、君の神経は変な所で普通過ぎるからね」

自分が普通過ぎるというよりも、周りがおかしすぎるの間違いじゃないだろうか(最近は余計に)。人間的にかなり変わっている部類に入る父親に言われると余計にそう思う。

「イケメンに迫られて結婚する人生も、もしくは悪く無いかもだしね?何事も起きるように出来てるんだから、後をどうするかは君次第だ」

「また勝手な事を…」

「だいじょーぶだいじょーぶ、パパが何時でも君の味方である事だけは変わらないから、ま、状況により8割くらいだけどね?」

最後に頼りない事を呟いて、父親が着ている甚平からおもむろにタバコの箱を取り出した。同時に、何処かの居酒屋の名前が入ったマッチも取り出し火をつける。

久しぶりに嗅いだ煙草の煙が、不思議な懐かしさを豪星の中に染み込ませた。

「父さん、ここ暫く俺大変だったんだからね」

別の恨み言をぶつぶつ口にしながら次郎を手繰り寄せる。へらへらと笑う父親が、豪星の直面に座り直して「なになに?」と顔を覗き込んできた。

「面白そうだから聞かせて?」

「いいよ、一回ぶん殴らせてくれたらね」

「はいどーぞ」

今度は素直に頭を差し出してきたのでがつん!!と思い切り殴ってやった。多少すっとしたが、代わりに骨がじんじんと痛む。

「いてて…!結構力ついてきたね豪星、それでそれで?」

痛む頭を押さえながら父親がにこにこ尋ねる。癪に触ったので今度は頬をつねった。

「父さんが出て行ってから暫くした後おなか空きすぎて倒れたよ」

「いてて…え?なんで?ダイエット?それ以上痩せちゃうと豪星君骨せんべいみたいになっちゃうよ?」

「誰が骨せんべいだ!大体お金置いていかなかったのは父さんだろ!」

「…あれ?僕置いていかなかったっけ?」

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