「それって俺たち別れないってこと?」
「へ?」
「いまのって別に別れ話じゃないよね?」
「え?え?……そうなのか?」
「だよね!じゃあいいや!!」
「え!?いやいやよくないでしょ!?俺貴方とは生活の為に…!」
「そんなの!!ダーリンと付き合えるきっかけだったって思えばラッキーって事だし!正直理由はどうでもいい!」
どうでもいいだと!?こちとら散々っぱら悩んだのに!色々と超心配したのに!
「そう、愛は後からついてくる!というわけで、おかえりダーリン!俺の為に色々考えてくれてありがとう、惚れ直しちゃった!」
「ど、どうも!?」
え?まって?俺今どうしちゃったの?どういう状況になっちゃったの?あれぇ!?
「もしもし?お取込み中申し訳ないんだけど」
「あ?おっさんまだいたのか、部外者は隅で縮こまってろ」
「そうだよ父さん!ちょっと待ってて!」
「…父さん!?」
豪星と猫汰のやりとりをそれとなく裂いてきた中年男―――豪星の父親の存在を頭と目で理解した瞬間、猫汰が死ぬほど吃驚したような顔でその場を飛びのいた。
猫汰の居た場所にひょこひょこ歩み寄りながら、父親が「はーい」と手を上げる。
「えぇ!?このおっさ…間違えた!このおじ様ダーリンのお父様なの!?」
「はぁ、まあ一応」
豪星が頷くと、はっと神妙な顔つきになった猫汰が、高速で父親に振り返り、がばりと腰を90度に倒した。大変美しい姿勢だ。
「先ほどは大変失礼いたしましたお父様!初めまして、俺は神崎猫汰と申します、息子さんと清いお付き合いをさせて頂いてまっす!」
「マジで?やるねぇ豪星君、こんなイケメン捕まえるなんて」
「………」
「もちろん、息子さんとは将来の事も結婚の事も見据えております!」
「マジで?やるねぇ豪星君、こんなイケメンと将来展望するなんて」
「………」
「最近はちょっとだけすれ違いがありましたけど、ついさっき話し合いで解決しましたのでこれを機にお父様、俺たちの仲を親公認という形で認めて下さい!」
「え!?いやいや解決してませんよね!?勝手に進めないでくださもごもご!」
「ダーリン!今大事な話してるんだから邪魔しないで!」
えええええ!!こっちの方が大事じゃね!?
「うんいいよー、不束な息子ですがよろしくお願いねイケメンくん」
おぃいいいいいいい!!話をややこしいまま発展させるな糞親父!!
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