先人曰く、運というのは結果を見なければ分からないものらしい。
例えば、クジで一億があたったとする、普通はこれを幸運と見るが、もしこの金が原因で不幸が起きたとしたら、それは結果として、不運を当てた事になる。
先人曰く、運勢とは土と気候、それから繋がりによって左右されるらしい。
例えば、とても不幸な人がいたとする、けれど、その人はその時その場所に居るから不幸なのであって、その時その場所から居なくなれば、不幸とは限らない。
先人曰く、運命というのは変えられるものらしい。例えば、その人の言動、行動次第によって。
中嶋豪星、17歳、高校生にして独り暮らし、バイトを稼ぎとし、今年から犬を飼い始める。
これがまた可愛くて、可愛くて、べらぼうに金がかかる。それでも何とか収支は共に零の、所謂崖っぷち生活をしていた。
そんな豪星の懐事情に予期せぬ事態が起きた、先月の必要な支払いを終えて直ぐ、勤め先から解雇を食らったのだ。
不況の煽りを受けてのバイト切りだったらしいが、こちとら堪ったものではない、即座に嘆願したが、結果は無残な物だった。
土下座までしたのに、…というのは割愛して、非常に困った事になった、月末の支払いが終わった今、残金は残り僅かなのだ。
雀の涙程しか無い貯蓄は今月の犬の診察代、及びワクチン代に消える予定となっている。
それでも足りなかったが、幸い給料日後の予定だったので、何とか凌げると思っていた所に、解雇ときた。
再三言うが、豪星は犬が可愛かった、もう目に入れても痛くない位の可愛がりっぷりだった。だから、犬の為の費用を削るという気は毛頭なかった。
となると、何が削られたかといえば無論、自分の為の費用だ、娯楽費、などとんでも無い、人類の生命線、…食費だ。
解雇を食らった日、豪星は自分の限界の食費を数えた、直ぐにバイトが見つかれば良いが念のため、そうならなかった場合の、最悪を計上した。
ひと月を見積もって出した結果は、一日150円、大層悲惨な数値となった。
その日から、ひとつ75円のカップ麺を二つ食べて生活するという、某テレビ番組の企画も真っ青な生活が始まった。
誰の目にも止まる事の無い無謀企画は、初めは何とか凌ぎ、5日経った頃に異変を感じ、一週間を過ぎて力を無くし、結果…。
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