「…………うっ、」

目が覚めた時、辺りがすっかり暗くなっていることに気づく。

ちょっと動くと、軽くえづきそうになった。飲み過ぎたらしい。

けど、頭はすっきりしている。やけ酒していた時の泥じみた目覚めとは全く違う爽快さだ。

ソファの上でだらしなく傾いていた身体を起こし、背を伸ばそうとしたとき。「ん?」手が何かにぶつかった。

見ると、ソファの背にもたれかかる形でアゲリハが酔いつぶれていた。

どうやらお互い、服も着替えないまま、酒を飲んで寝落ちしたらしい。

「おーい……」起こそうとした時。ふと。身じろぎした相手の顔に夜の光が当たった。

…………相変わらず綺麗だな。

身体を屈めて相手の顔に近寄り、そのままキスしてみる。

魔がさすとはこのことだなと、笑っていると。

「………大胆だなサノト」

ぐっと、下から腕が伸びてきた。「うわっ」突然引っ張られ、抵抗できずにバランスを崩す。

傾いたサノトの身体に、アゲリハがゆるく腕をまわしてきた。

「自分からキスしてくるなんて随分なことだな。男はだめなんじゃなかったのか?」くすくす笑いながら見上げてくる美しい顔に、再び目を奪われる。

「いや、あの……なんか、酒のあとの勢いっていうか、魔が差したっていうか」ふいと目をそらして、答えになっていない答えをあれこれ漏らしていると。

「そうか。勢いは大事だな」アゲリハがぐっと身体を持ち直して、そのままサノトの耳元に顔を近づけてきた。

「それじゃあ、勢いついでに試してみようか?」

「……な、にを?」動悸が激しくなってくる。

緊張なのか期待なのか、よくわからない感情に支配されて、ごくりと喉がなった。

「それはもちろん」アゲリハがサノトに再び手を伸ばしてくる。

その手が、サノトの腰と太ももに触れて。そっと服のあいさに指先が忍び込んできた。

背筋に熱がぞくぞく昇る。

目元にたまった羞恥を落とすように、うつむいていると。かがんだアゲリハに下からキスされた。

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