酒瓶は、片方は全体がおかしな方向に傾いたデザイン。もう一つは猫の形をしていて、耳が注ぎ口になっていた。

「そうそう!こういう形の変わった酒をさ、棚に飾ってみたかったんだよ。
うわぁかっこいいなー。俺もあっちで酒買ってこっちに飾ろう。

俺ね、ビールだけじゃなくて。ワインもウィスキーもジンもウォッカも清酒も焼酎も泡盛も、酒ならなんでも好きなんだ。
好きなものがしかも飾れるなんて思ったら、俺、なんかわくわくしてきちゃったよ。

あ、そういえばアゲリハ。この傾いてる酒と、猫みたいな酒。中身はなんの酒なの?ワイン?ウィスキー?」

「サノトの言う、わいんとうぃすきーとやらは分からないんだが。
これは、傾いてるほうを白。猫の形をしたものを緑と言うんだ」

「え?なんで白と緑?どっちも色違うよ?」

「トーイガノーツではな。度数によって酒が区分されているんだ。
アルコール4%未満を赤。
6%未満を青。
11%未満を緑。
21%未満を黄。
31%未満を白。
51%未満を黒と言うんだ」

「へぇえ。おもしろいね。うちと全然ちがうや」

「そうだな。
さてサノト。今日もうちに泊っていくんだぞ。
お前が待望した酒の棚が無事届いたことを、いっしょに祝おうじゃないか」

そういって、アゲリハがしまったばかりの酒を取り出しリビングの机においた。

キッチンからグラスもふたつ、いつの間にか作ったらしいつまみもあれこれ。机に運び込むと。リビングが一瞬にしてホームパーティ状態になった。

「すげー!テンション上がるね!
このディップみたいなやつなに?」

「レバーペースト」

「すげぇ!おしゃれー!」

昼間から酒を開けて、飲んだり食べたり話したりしながら、わいわい二人だけの酒宴を楽しんで。

話がつきると、異世界のテレビをつけて一緒に眺めたり、また飲んだり。飲んだり。飲んだりして。

気づくと――――意識が遠のいていた。

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