「君が人間に戻るために、ひとつ条件がありまーす」

「え!なんですか!?」

「ていうか、そのために君を猫にしましたー」

イケメンは、答え合わせをしようと言った。

なんの答え合わせですかと聞けば、この状況全ての答えだという。

「どうして俺が魔法をつかって君を猫にしたのか、その答えだよ。
あのね、俺、君のことが好きなの」

「えっ」驚きすぎて二の句が告げない。猫の身体で冷や汗を流す豪星の目の前で、イケメンは一転、顔を赤く染めて、ちょっと目を逸らしながら告白をつづけた。

「あのね、さっき一緒にいたコンビニに、君よくいるじゃない?俺、君を見かけた時から、ずっとかわいいなーと思ってて、君がコンビニに行く時間をみはからって、通ってたのね。君目当てであのコンビニにいたのね、俺」

「…………」

「それで、ずっと君のこと見てたら好きになっちゃった。俺、君のことがタイプなの。だから、俺と付き合ってほしいの。
けど、君にふられるの嫌だからこうしたの」

「ええー………」なんという暴論。突っ込む余地さえない。

「ねえ、俺と付き合って?
付き合うって言わなきゃ、君をこのままうちで飼っちゃうからね」

「そ……、」

そんなこといわれても。困る。

豪星は同性愛に多少の理解はあっても同意はない。付き合ってと言われてもすみませんとしか言いようがなくて。

けど、それを見越して脅されているとなると……俺はいったいどうしたら。

「なんで黙ってるの?俺と付き合うよね?」

恥ずかし気だった声に、強い口調がまざる。

これは……告白ではない。そう、命令だ。

俺と付き合え。ノーって言ったらどうなるか分かってんだろうな?と脅されているのだ。

「…………」

豪星は黙したまま、どうすればベストなのかを考えた。

考えて考えて考えて、そして。

「……わ、わかり……ました」

震え声で頷いた。すると。

「わーい!!やったぁ!!」

イケメンが柵を開き、猫の豪星を取り出すと抱き上げて歓声をあげた。

彼にたっぷり、ほおずりとキスをされながら、豪星は、これから一体どうなるんだろうと、明日の我が身を嘆いた。

おしまい。

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