おいおい。これに付き合った見返りがフラペチーノひとつは安すぎだろ。おつりくれ。

「で、原野。今日の本題なんだけどね」

うわー。本題きたー。

来ないと帰れないけど聞くのやっぱこわーい。

「あのね。お前うちの教室の男子に顔きくでしょ?」

「はあ……まあ。全員、深い浅いの付き合いはありますね」

「でしょでしょ?その伝手つかって、今からここに、男子呼び出してくれない?」

「は?なんで?」

「なんでもいーから。はやく」

「いやでも、理由がないと呼び出すもなにも……」

「あ、そうか」猫汰が上目になり、少し考え込んでから。「よし」立ち上がって再びレジに向かう。

戻ってきた時、トレーに乗せられていたのは、おかわりのコーヒーと、おかわりのフラペチーノと、……なんだこれ。カード?しかも山積みになってるし。

「神崎さん。なんすかこれ」謎のカードを指さすと「スタパのプリペイドカードに決まってんじゃん」猫汰がからから笑う。

「いや。そうじゃなくて。なんでスタパのプリペイドカードが、山積みになってるんすか?」

「うん。原野。それ使って、いますぐ男子呼び出して」

「はい?」なに?どういうこと?

「だーから。うちの教室の男子全員に、今すぐ駅前のスタパ来れる奴速攻で集合。来たら三千円のスタパプリペイドカードやるよって、連絡流してよ。あまったカードは原野にやるからさ」

「…………」

これ絶対ろくでもないこと考えてる!!

エサの大きさがそれを物語ってる!!

「おいなにもたついてんだ。はやくしろよ」

いたい!また殴った!ああもう乱暴な人だな!

分かりましたよ!連絡すりゃいーんでしょ!

ちくしょー!夏休み最後だってのに、踏んだり蹴ったりだー!

………………………………。

猫汰から開放されたのは、スタパに入って4時間後のこと。

「はー………」のしかかる疲労を抱えて自転車に乗り込み、自宅を目指す。

ほんと疲れた。もう寝たい。今日は風呂入ってメシ食ってさっさと寝よう。

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